毎月第2・第4土曜日に開催している「わくわく体験教室」。恐竜缶バッジづくりや恐竜コースターづくりなど全部で7種類の体験をご用意しておりましたが、このたび新たに「キラキラ石の万華鏡づくり」が加わりました。今回はこの体験教室の開発裏話をご紹介します。
お気に入りの場所を紹介します〜常設展示〜
常設展示で個人的にお気に入りの場所。それはこちらです。
御船町恐竜博物館プレパレーション・プロジェクトの魅力を パトリック・リージー氏にお伺いしました
2016年6月、ロッキー博物館のパトリック・リージー氏が、御船町恐竜博物館との共同プロジェクトである「プレパレーション・プロジェクト」を指導するために来日されました。そこで、リージー氏に同プロジェクトや博物館の役目についてお話をうかがい、古生物学者になりたい子供たちへのアドバイスもいただきました。
御船層群にある泥岩の色のひみつ
左の写真は、御船町にあるおよそ9000万年前に堆積した地層である「御船層群」のうち、「上部層」と名前のついた地層からとってきた石です。それぞれ石の色がちがうことに気がついたでしょうか。一方が黒っぽい色、もう一方が赤茶色にみえますね。黒っぽい色をした石は上部層にふくまれる「灰緑色泥岩層(かいりょくしょくでいがんそう)」から、赤茶色にみえる石は「赤色泥岩層(せきしょくでいがんそう)」からとってきました。泥岩層という名前のとおり、両方とも「泥」が固まってできた泥岩です。なぜ色がちがうのでしょうか?
熊本県の石
熊本県のシンボルとして、県の「木」、「花」、「鳥」、「魚」が定められている(熊本県ホームページ, http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_3207.html)。県木は「クスノキ」。熊本城をはじめとして県内各地の神社や寺院に巨木が聳える。県花は「リンドウ」。秋には阿蘇の草原に紫色の可憐な花を咲かせる。NHKが全国的に「郷土の花」を選定した際に選ばれたものだという。県鳥は「ヒバリ」。農業県熊本のシンボルとして、県内各地の草原や耕地で見ることができる身近な鳥が選定されたものだ。そして、県魚は「クルマエビ」(魚ではないが…)。有明海や不知火海は国内の主要な産地であり、全国に先駆けて養殖に取り組んだ経緯がある。生産量は日本一だという。これらのシンボルとして選定されているものはすべて「生物」である。確かに熊本の自然を構成するものたちだが、その生物たちが生息する【大地】もまた、熊本の重要な自然の一部だ。
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【ノーベル賞2016】オートファジーってなんだろう?
【ノーベル賞とは】
人類のために大きな貢献をした人に与えられる賞。ダイナマイトの発明をした“アルフレッド・ノーベル”の遺言にしたがい、1901年から始まっている。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済の6分野がある—
2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授が発見した現象「オートファジー」。今回はこの「オートファジー」について紹介します。
2016年熊本地震、恐竜博物館再開までの101日
ドン、ダダダダダー、ユッサユッサユッサ・・・・、何の前ぶれもなく強烈な揺れが襲った。2016年4月14日午後9時26分ごろ、熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生。御船町は震度5強、隣接する益城町では、震度7を記録した。
地震発生当時、分析室に残って仕事をしていた林学芸員は、近くにあった顕微鏡を必死に押さえ、強い揺れが収まるのを待った。地震直後の1時間は電話がほとんどつながらない状態。地鳴りと余震が続く中、直ちに館内を点検した。阪神大震災では、地震後の火災によって被害が拡大したことが頭をよぎった。翌朝から休館し、被害状況の把握に追われた。まず、図面に損傷箇所を記録し、写真を撮影した。電気・機械設備に異常がないか確認した。さらに強い余震が予想されたため、標本や機材を安全な場所に移動させた。余震も続いており、夜間待機が決まった。
流星群は彗星からのプレゼント
2016年8月12日、パレオプログラム「星空を見上げて−ペルセウス座流星群−」を実施しました。日中は晴天にめぐまれ、極大をむかえたペルセウス座流星群の観察をわくわくしながら待っていました。しかし19時頃から少しずつ雲がではじめてしまい、観察をはじめる19時半には空一面の雲。雲の切れ間から見られないかと21時まで観察をつづけましたが、残念ながら流星を観察することはできませんでした。
流星とは「宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて大気と激しく衝突し、高温になってチリが気化する一方で、大気や気化したチリの成分が光を放つ現象(国立天文台ホームページより引用)」です。つまり流星群は“チリの粒”が地球の大気にたくさんとびこんできて見られる現象、というわけです。そして流星の正体の“チリ”は「彗星(すいせい)」が残していったお土産です。彗星は大きさが数キロメートルから数十キロメートルのとても小さな天体で、おもに氷でできています。氷のほかに“チリ”やガスでできているので「よごれた雪だるま」といわれることもあるようです。よごれた雪だるまと聞くとすこし汚いイメージがありますが、実際に夜空で観察する彗星はとてもきれいですよね。この彗星が通ったあとには彗星由来の“チリ”がのこり、“チリの帯”となります。この“チリの帯”と地球の軌道がぶつかるところで流星群が見られる、というしくみです。
プロになおしてもらった恐竜時計、ついに体験交流室に
教育イベントやわくわく体験教室を実施する、2階の体験交流室。2016年4月に発生した熊本地震の影響により博物館は休館していましたが、7月24日の再開にあわせて、この部屋に「恐竜時計」を設置しました。旧館時代にいただいた手作りの時計です。地震後に確認したところしっぽの部分が折れてしまっていたので、修理のプロでもある当館のプリパレーターにお願いして時計をなおしていただきました。
写真中、赤い点線でかこってあるあたりが折れてしまっていたのですが、もうどこが壊れていたのかわからないですね。ご興味のある方はぜひ実物で、プリパレーターによる修復技をご覧ください。
ちなみに今回の修理に使用した接着剤はこちら。化石の標本を修復するときにもつかう接着剤です。
地震でアクロカントサウルスの頭骨が落ちて割れてしまったのですが、その修復にもこの接着剤がつかわれました。頭骨を修復したさいには、この写真にある接着剤(充填剤 兼 接着剤として使用)のほか「シアノアクリレート(瞬間接着剤として使用)」「エポキシパテ(充填剤 兼 接着剤として使用)」もつかったそうです。プリパレーターの方に化石の標本を修復するときのコツを聞いたところ、「壊れた破片をパズルのように組み立てるとき、本体とどう合わさるかを考えながら組み立てること。そして接着する順番が大切。つまり、接着する順番を間違えると本体とくっつかなくなる。」とのこと。粉々になった化石の標本をパズルのように組み立てる…まさに職人技です。
文・撮影 富澤由規子