〜この記事は、御船町で発行している広報誌「令和3年度広報みふね11月号(第647)」に掲載された“学芸員の博物館日記”を一部改変したものです。〜
2021年10月11日、当館にて学芸員研修会「恐竜博物館de音楽療法」が開催されました。音楽療法と恐竜博物館…つながりがないように思えますよね。しかし…
続きを読む 博物館と社会的処方 →
「ユニバーサルデザイン」という言葉をご存じでしょうか?
それでは、『ユニバーサル“ミュージアム”』はいかがでしょうか?
「ユニバーサルデザイン」は、すべての人が利用しやすいように考えられたデザインのこと。
一方、すべての人が利用しやすく、安心して楽しく過ごせる博物館。それが、『ユニバーサルミュージアム』です。
続きを読む ユニバーサルミュージアム 〜視覚の観点から〜 →
来館した方に自由に書き込んでいただく「恐竜博物館へのメッセージ」ノート。頂いたメッセージを読むことは、実は博物館スタッフの楽しみの一つでもあります。
続きを読む 御船町恐竜博物館へのメッセージ(2017/3,4編) →
2016年6月、ロッキー博物館のパトリック・リージー氏が、御船町恐竜博物館との共同プロジェクトである「プレパレーション・プロジェクト」を指導するために来日されました。そこで、リージー氏に同プロジェクトや博物館の役目についてお話をうかがい、古生物学者になりたい子供たちへのアドバイスもいただきました。
続きを読む 御船町恐竜博物館プレパレーション・プロジェクトの魅力を パトリック・リージー氏にお伺いしました →
ドン、ダダダダダー、ユッサユッサユッサ・・・・、何の前ぶれもなく強烈な揺れが襲った。2016年4月14日午後9時26分ごろ、熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生。御船町は震度5強、隣接する益城町では、震度7を記録した。
地震発生当時、分析室に残って仕事をしていた林学芸員は、近くにあった顕微鏡を必死に押さえ、強い揺れが収まるのを待った。地震直後の1時間は電話がほとんどつながらない状態。地鳴りと余震が続く中、直ちに館内を点検した。阪神大震災では、地震後の火災によって被害が拡大したことが頭をよぎった。翌朝から休館し、被害状況の把握に追われた。まず、図面に損傷箇所を記録し、写真を撮影した。電気・機械設備に異常がないか確認した。さらに強い余震が予想されたため、標本や機材を安全な場所に移動させた。余震も続いており、夜間待機が決まった。
続きを読む 2016年熊本地震、恐竜博物館再開までの101日 →
教育イベントやわくわく体験教室を実施する、2階の体験交流室。2016年4月に発生した熊本地震の影響により博物館は休館していましたが、7月24日の再開にあわせて、この部屋に「恐竜時計」を設置しました。旧館時代にいただいた手作りの時計です。地震後に確認したところしっぽの部分が折れてしまっていたので、修理のプロでもある当館のプリパレーターにお願いして時計をなおしていただきました。
写真中、赤い点線でかこってあるあたりが折れてしまっていたのですが、もうどこが壊れていたのかわからないですね。ご興味のある方はぜひ実物で、プリパレーターによる修復技をご覧ください。
ちなみに今回の修理に使用した接着剤はこちら。化石の標本を修復するときにもつかう接着剤です。
地震でアクロカントサウルスの頭骨が落ちて割れてしまったのですが、その修復にもこの接着剤がつかわれました。頭骨を修復したさいには、この写真にある接着剤(充填剤 兼 接着剤として使用)のほか「シアノアクリレート(瞬間接着剤として使用)」「エポキシパテ(充填剤 兼 接着剤として使用)」もつかったそうです。プリパレーターの方に化石の標本を修復するときのコツを聞いたところ、「壊れた破片をパズルのように組み立てるとき、本体とどう合わさるかを考えながら組み立てること。そして接着する順番が大切。つまり、接着する順番を間違えると本体とくっつかなくなる。」とのこと。粉々になった化石の標本をパズルのように組み立てる…まさに職人技です。
文・撮影 富澤由規子
Keeping our prehistoric heritage for the future