「ユニバーサルデザイン」という言葉をご存じでしょうか?
それでは、『ユニバーサル“ミュージアム”』はいかがでしょうか?
「ユニバーサルデザイン」は、すべての人が利用しやすいように考えられたデザインのこと。
一方、すべての人が利用しやすく、安心して楽しく過ごせる博物館。それが、『ユニバーサルミュージアム』です。
“すべての人”とは、たとえば視覚や聴覚、運動機能などに障がいがある場合だけでなく、年齢や日常的に使用する言語のちがい、車で博物館を訪れる人や公共交通機関で訪れる人など、文字どおり博物館を利用するすべての人を対象としています。
博物館というと、展示されているものを「見て」楽しむイメージがありませんか?
通常は貴重な実物資料を展示していますから、劣化や破損を避けるため、見て楽しむ(学ぶ)展示となっています。さわれる展示もありますが、多くありません。視覚だけでなく五感を使って資料に接することができたら、さらに感動も大きくなり、理解も深まるでしょう。そしてそれは、目や耳が不自由な方が展示を楽しむ選択肢を増やすことにもなります。例えば、さわって形を理解する展示や、音を使って距離(大きさ)を認識する装置などがその例です。また、拡大することによって視覚による観察を可能にできる場合もあります。
〜 拡大読書器を導入しました!〜
拡大読書器とは、画像を拡大したり見やすい配色に変えたりすることができる、目の不自由な方が本や書類を読む際に役立つ装置です。2019年8月20日、株式会社日本テレソフト(金子秀明代表取締役社長)から、1台寄贈していただきました。
どんな風に見えるのか、その一部をご紹介しましょう。
ここに本を置いて…
拡大できます。
さらに拡大できます。
見やすい配色に変えることも、
一部だけを表示することもできます。
※表示させる部分を縦長・横長に、幅も自由に変えられます。
「読書器」ですが、せっかくなので化石を置いてみました。すると…
この拡大読書器は、現在のところ御船町恐竜博物館の2階分析室(オープンラボ内)に設置しています。鍵のかかった部屋なので、ご利用になりたい場合は事前にお問い合わせください。(設置場所は、今後変更になる可能性があります。)
なお、さわって学べる“古生物のフィギュア”や“化石”もご用意しています。
ユニバーサルミュージアムー“すべての人”が利用しやすく、安心して楽しく過ごせる博物館。
博物館へのアクセスは良好か。博物館の周辺・館内は、車椅子や杖を用いた移動も快適にできるか。映像に字幕はあるか。点字はあるか。案内は、多様な言語に対応しているか。災害発生時など、緊急時のアナウンスは-…
新館を建設する際には、ユニバーサルデザインを意識して設計されましたが、ユニバーサルミュージアムの実現には、多くの課題がのこされています。
「こんなものがあったらいいな」「こうだったらもっと便利だな」といった皆様からの声は、ユニバーサルミュージアムになるために、とても大切なことのひとつです。
みなさまのご意見を、お気軽に博物館へお寄せいただければ嬉しく思います。
※さわって学べる古生物のフィギュアやケースの購入には、「一般財団法人全国科学博物館振興財団」の助成を受けています。
(文・写真 富澤由規子)