流星群は彗星からのプレゼント

 

パレオプログラムの様子
パレオプログラムの様子

2016年8月12日、パレオプログラム「星空を見上げて−ペルセウス座流星群−」を実施しました。日中は晴天にめぐまれ、極大をむかえたペルセウス座流星群の観察をわくわくしながら待っていました。しかし19時頃から少しずつ雲がではじめてしまい、観察をはじめる19時半には空一面の雲。雲の切れ間から見られないかと21時まで観察をつづけましたが、残念ながら流星を観察することはできませんでした。

流星とは「宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて大気と激しく衝突し、高温になってチリが気化する一方で、大気や気化したチリの成分が光を放つ現象(国立天文台ホームページより引用)」です。つまり流星群は“チリの粒”が地球の大気にたくさんとびこんできて見られる現象、というわけです。そして流星の正体の“チリ”は「彗星(すいせい)」が残していったお土産です。彗星は大きさが数キロメートルから数十キロメートルのとても小さな天体で、おもに氷でできています。氷のほかに“チリ”やガスでできているので「よごれた雪だるま」といわれることもあるようです。よごれた雪だるまと聞くとすこし汚いイメージがありますが、実際に夜空で観察する彗星はとてもきれいですよね。この彗星が通ったあとには彗星由来の“チリ”がのこり、“チリの帯”となります。この“チリの帯”と地球の軌道がぶつかるところで流星群が見られる、というしくみです。

彗星(すいせい)がのこす”チリの帯”
彗星(すいせい)がのこす”チリの帯”

では、彗星はどこからやってくるのでしょうか。

彗星(すいせい)の故郷 その1「エッジワース・カイパーベルト」
彗星(すいせい)の故郷 その1「エッジワース・カイパーベルト」

太陽系、『水/金/地/火/木/土/天/海(すいきんちかもくどってんかい)』を思いだしましょう。太陽系のもっとも外側の軌道をまわっている海王星の、さらに外側、ここに「エッジワース・カイパーベルト」という領域があります(図参照)。氷微惑星のあつまりです。公転周期が200年以内の彗星はエッジワース・カイパーベルトからやってくると考えられています。

彗星(すいせい)の故郷 その2「オールトの雲」
彗星(すいせい)の故郷 その2「オールトの雲

公転周期が200年以上の彗星は、エッジワース・カイパーベルトよりもさらに外側にある「オールトの雲」という場所からやってくると考えられています。オールトの雲は、だいたい【[地球から太陽までの距離]×数万】した場所にあるといわれています。わたしたち人間がまだ行くことができない、はるか遠いところから彗星はやってきてそのうつくしい姿を見せてくれるのですね。さらに流星群というプレゼントまでくれるのです。「よごれた雪だるま」にたとえられて少し可哀想な気がしてしまいます。

さて、流星をどうしても観察したかったので極大を過ぎた8月14日の夜に個人的に流星観察をおこなった結果、30分で2個の流星を観察することができました。場所を移動してさらに1時間ほど観察をつづけましたが、こちらでは収穫ゼロ。運良くみられた2個の流星については流星が流れてきた方角が全くことなったので、どちらかは「流星群ではなかった」あるいは、両者とも「流星群ではなかった」かもしれません。ペルセウス座が地平線の上にでていなかったので、流星群かどうかの判断ができませんでした。“流星群かどうかの見わけ方”ついてご興味がある方は、国立天文台のホームページなどをご覧いただくとわかりやすい説明がありますよ。

 

文・写真:富澤由規子  画像:国立天文台ホームページより借用

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