教材化シリーズ
・熊本平野
宇土半島
御所浦島
御船層群
金峰山
メガロドン
アカホヤ火山灰
熊本平野の地質

<ねらい>
熊本平野には中生代白亜紀の地層や新生代第四紀の地層が分布する。
【白亜系】
熊本平野東方の託麻三山(神園山・小山山・戸島山)を中心に、姫浦層群(下部亜層群)に相当する地層が分布しており、れき岩・砂岩の観察や、地層の広がりを立体的にとらえる学習などができる。以前はイノセラムスやアンモナイトなどの化石が採集できていたが、現在は露頭がなく、化石採集はできない。



イノセラムスの化石(県総合運動公園裏)
【第四系】
熊本平野の地下には、阿蘇火砕流堆積物、砥川溶岩、台地れき層、縄文海進による沖積層が分布している。平野を取り巻くように分布する貝塚や宇土半島にある海食洞、及び縄文海進層から産出する海生貝化石などは、「縄文海進」を指導するのに適している。






縄文海進層から産出した化石
海食洞(宇土郡三角町1号橋下)
<使い方> 〜熊本平野における縄文海進の指導〜
【指導1】 縄文時代の貝塚や海食洞からの指導
 熊本平野を取り巻くように分布する多数の縄文中期〜後期の貝塚や、宇土半島先端部にある隆起海食洞の存在によって、縄文海進時 の海岸線の位置(現在の海抜5mの等高線がヒントになる)を考察させることができる(下図)。下益城郡城南町の国指定史跡の御領貝塚(貝殻の絶対年代は約3500年前)では、現在でも1.5mの厚さで 二枚貝の殻(90%はヤマトシジミ)が密集した状態で残されている。
御領貝塚
(足元の白いものは すべて貝殻で、そのほとんどが汽水域に生息するヤマトシジミである)
【指導2】 縄文海進層の海生貝化石を使った指導
 縄文海進層からは、20cmを超すマガキ(絶対年代は約4100年前)以外にも次のような二枚貝化石を多産する。

ハマグリ、サルボウガイ、カガミガイ、オキシジミ、ハイガイ、イタボガキ、アゲマキ、マテガイ、シオフキ、アサリ

これらの貝化石の種類は、現生貝類図鑑を使って調べることができる。現生の貝類の生息環境を手がかりとして、地層が堆積した環境を生徒自身が推定することができる。

※これらの化石は、以前は国道3号線にかかる緑川橋、熊本市平田町、下益城郡富合町廻江などで採集できたが、現在は採集できない。