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教材化シリーズ
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金峰山周辺の地質の教材化
〈ねらい〉
熊本市の西方に位置する金峰山は、熊本市民にとって身近な山である。金峰山は、古金峰山 →金峰山カルデラ→現金峰山という阿蘇山と同じような形成史を持つ。カルデラを形成した金峰山の火山活動と火成岩の学習や、カルデラ湖の堆積物を利用した堆積岩や示相化石の学習に適した教材である。
〈使い方〉
1. 金峰山の外輪山では、安山岩の岩脈がみられ、火成岩の学習に利用できる。
2. 金峰山と阿蘇山の形成史を比較し、火山の学習を深めることができる。
3. 産出する植物化石から、カルデラ湖を形成していた頃の気候を推定することができる。
4. 岩戸観音付近の凝灰角礫岩の様子を雲仙普賢岳と比較することにより、ドーム型火山の噴火の様子を学べる。
5. 竜田山断層のずれを地形から観察することにより、地震の学習を深めることができる。
金峰山の形成図
指導1
立田山のふもとから金峰山の東南側を抜け高橋稲荷にかけては、立田山断層と呼ばれる正断層があり、北側が何度かの地震により下がっている。この断層の動きにより熊本市は1882年7月8日にM6.3の地震に見舞われ死者20名を出した。特に揺れが大きかったのは河川流域の軟弱地盤地帯で、液状化現象もみられた。今後も直下型地震を起こす可能性がある断層である。
指導2
金峰山一ノ岳北側の窪地(河内町岳〜河床)にかけて、主に泥岩からなる堆積岩の地層がみられる。この地層は、かつて金峰山がカルデラ湖を形成していたときの湖堆積物で、およそ40万年前(中国大陸で北京原人が活躍していた頃)のものである。
堆積岩中には、ブナなどの植物の葉の化石や花粉の化石がみられ当時の環境を知る手がかりとなる(示相化石)。
また、1枚の地層を観察すると下の方が粗く、上に行くの粒径が小さくなる様子が観察できる。
薄い、真っ白なガラス質の堆積物からなる層を挟んでいる。これは、火山灰層である。カルデラ湖を形成していた頃にこの湖に火山灰を降らす火山活動がどこかで起こっていたことを教えてくれる。
河床の県道脇では、水を通しにくい芳野層と、上部に堆積した新しい境目で水がわき出ている様子が観察できる。地下水の様子を教
えるにはよい教材となる。
芳野層の化石
芳野層の露頭
芳野層の珪藻化石